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事業報告 : 平成29年度宮崎地域医療を考える会<報告>
演題1として、鹿児島県の伊敷病院長の植村健吾先生による「認知症における診断と治療」では、認知症の治療とは何かと考えた際に、根治が難しい状況下において、患者さん本人の「生きづらさ」をいかに軽減することが出来るかが重要と述べられました。また、治療に加えて看護、介護の力も重要で、地域の中で患者さんを支えていくことが重要であると述べられました。 薬物治療については、伊敷病院での調査結果や、実践的な薬物治療についても解説いただきました。薬物治療によって、認知機能の低下を防ぎ、軽度な時期を少しでも増やすことが重要であると述べられました。 演題2として、東京大学高齢社会総合研究機構の辻 哲夫特任教授による「地域包括ケアの課題と今後の展望 〜柏モデルに関して〜」では、2025年問題に対する地域包括ケアシステムの構築には、その前提条件として在宅医療の確立が不可欠であり、在宅医療は患者が生活者として自宅等で生活していくために「治し、生活を支える医療」への転換が求められ、そのためには、かかりつけ医と医師会、市町村が緊密に連携することが基本とされました。 2025年を迎える中で、これからの医療・介護は、フレイル(虚弱化)予防・対策が重要で、柏市モデルでの取り組みが紹介されました。さらに、地域包括ケアシステムの柏市モデルとしては、行政と医師会が協同で研修を行い、エリア毎の担当医や拠点整備、情報連携システムに関する事例を解説いただきました。また、今後の柏市での展望として、これからの在宅医療確立のためには、効率的に情報を共有するためのICTの活用と24時間体制の基盤確立ための訪問看護ステーションの基盤拡充が重要であると述べられました。